「採用ブランディングは“つくって終わり”じゃない」―組織の体温を上げるために、言葉とビジュアルを立ち戻れる場所にする
事例インタビュー
「採用ブランディングは“つくって終わり”じゃない」
―組織の体温を上げるために、言葉とビジュアルを立ち戻れる場所にする
株式会社Branding Career代表取締役 佐地 良太様 × 株式会社GEKI 副島 弘輝
インタビュイー:

株式会社Branding Career
代表取締役CEO 佐地 良太様
慶応義塾大学を卒業後、株式会社リクルートへ新卒入社。人事を経験したのちに、法人営業へ従事。全社TOPセールス表彰などの実績を多数挙げたのち、フリーランスとしての独立やスタートアップ子会社代表などの経験を経て、2017年に自身が代表となる「株式会社Tanpan&Co.」を設立。その後、人材事業の事業譲渡によりTWOSTONE&Sonsへジョイン。人材紹介事業の責任者を経て、2024年に株式会社Branding Careerの代表取締役CEOに就任。
インタビュアー:

株式会社GEKI PRODUCER 副島 弘輝
採用ブランドをつくる。採用のコンテンツを整える。
それは外に向けた発信であると同時に、実は“中”にも効く――。
今回、Branding Career様が取り組んだ採用ブランディングは、単なる採用ブランディングにとどまらず、組織のコミュニケーションや温度感にも影響を与えるプロジェクトになったという。なぜ、いま採用ブランディングが必要だったのか。何が変わり、何が課題として残ったのか。
株式会社Branding Careerの代表取締役CEO 佐地 良太様に、プロジェクトの背景から現在地までを伺った。
なぜ、採用ブランディングだったのか。

副島:
本日は、御社の採用ブランディングプロジェクトについて改めてお伺いをさせてください。まず、GEKIにご相談いただいた背景から教えていただけますか。
佐地様:
元々、自社サイトは、会社の立ち上げ時から関わってくれているクリエイティブ会社にお願いしていました。ロゴや基盤づくりは非常に満足していました。ただ、今回やりたかったのは、その延長ではなく「もう少し“激しい”方向」でした。
既存の表現は整理されていて綺麗なのですが、どうしても“まとまりすぎている”。
これから採用を強化するフェーズで、会社の熱量や挑戦性が十分に伝わらないという感覚があったのです。
課題は、採用ではなく「組織の温度差」
副島:
表現を変えたいというより、組織側の課題が起点だったのですね。
佐地様:
はい、その理由は大きく2つあります。
1つは、インナーコミュニケーションの質です。
私はロジックを重視するタイプですが、それに寄りすぎると「詰める/詰められる」構造になりやすい。冷たくしたいわけではないのに、そう見えてしまう。
もう少し“情熱”や“解釈の余白”が必要だと感じていました。
もう1つは、上場企業グループならではの社内ギャップです。
自分たちはベンチャーのつもりでやっているのに、「安定した会社に入った」という感覚だけで来る人もいる。この入口設計を変えないと、同じ採用が繰り返されてしまうと思いました。
GEKIが提案したのは「採用サイトの制作」ではなく、思想の翻訳だった

副島:
今回GEKIでは、単なる採用サイトの制作ではなく、
- 採用ブランドコンセプト策定
- コピー・言語設計
- ビジュアルコンセプト(粒子モチーフ)開発
- 採用サイト/採用デック制作
- インナー浸透用アパレル設計
まで含めた“体験設計”をご提案しました。
当時の提案はどのように感じられましたか。
佐地様:
課題の捉え方が非常に的確でした。
その上で、「期待を満たす」のではなく、少し超えてきた印象です。
特にコンセプトと言葉の設計ですね。単に採用メッセージを作るのではなく、「人間力」という抽象概念をどう伝わる形に翻訳するかを一緒に考えてくれた。
既存案はどうしても“綺麗にまとまる”方向でしたが、GEKIさんの案は、組織の体温に踏み込んできた感覚がありました。
キーワードは「マグマ」――内側から湧き出るエネルギー

副島:
今回のクリエイティブでは「粒子」や「マグマ」といった象徴的なモチーフを設計しました。
佐地様:
私たちは、キャリアを“二階建て”で捉えているんです。
1階がOS(人間力)、2階がスキルなどの専門性。
この掛け算で構成されると思っています。
今の組織で物足りなかったのが、「熱意」や「エネルギー」の部分でした。
能力や素直さはある。でも、内側から湧き出る欲求が弱い。
欲は、固体ではなく、グツグツしている流動体です。
だから“マグマ”という比喩が一番しっくりきたのです。
採用より先に効いたのは、社内(インナー)だった

副島:
プロジェクト後の変化はいかがでしたか。
佐地様:
実は、採用成果の検証はこれからです。
サイト公開前に採用を進め切ってしまったので、次のフェーズで評価になります。
ただ、想定外に効いたのがインナーです。
営業や商談の場で、今回作った資料を使って会社紹介をするようになりました。
すると、自分たち自身が「こういう会社だったよな」と再認識する。
外向けのアウトプットが、社内の振る舞いを整える役割を果たしていると感じています。
「立ち戻れる場所」ができたことが最大の価値
副島:
今後、このブランドがどう機能していくことを期待されていますか。
佐地様:
価値観が浸透しているかと言われれば、まだ全然です。
だからこそ、今は「組織の体温を上げる」ことが最優先課題です。
忙しくなると、人は語れなくなる。
数字に追われ、なぜやっているのかを忘れてしまう。
そのときに戻れる場所として、今回のブランドがある。
これは非常に大きな意味を持っています。
「宝石を探す」のではなく、「原石を磨く」会社でありたい

副島:
最後に、これからの展望を教えてください。
佐地様:
AI時代は、人材の価値が確実に二極化していきます。
完成された人材を奪い合うだけの構造では、いずれ限界が来るでしょう。
私たちは、すでに磨かれた宝石を売る会社ではなく、原石を見立て、磨き、その人自身の価値として社会に送り出す会社でありたいと考えています。
今回の採用ブランディングは、その思想を外に伝えるためだけのものではありません。
自分たち自身が立ち返り続けるための“基点”をつくる取り組みでもありました。
ここから先は、この考え方を日々の仕事や組織の中で実装し続けられるかどうかにかかっています。
今回整えた言葉や表現を起点に、Branding Careerとしての在り方を、これからも更新し続けていきたいと思っています。
編集後記
採用サイトをつくることは、情報発信の手段であると同時に、
組織が自分たちの思想を再確認するプロセスでもあります。
GEKIが担ったのは、デザイン制作ではなく、
理念・カルチャー・人の熱量を「伝わる構造」に翻訳することでした。
採用ブランディングとは、採用のための施策ではありません。
組織が何者であるかを定義し続けるための“基盤づくり”です。
Branding Career様の挑戦は、これからも続いていきます。