INTERVIEW | 2026.08.04

「nearsってなんですか」に、答えられる。


株式会社コスモスイニシア × GEKI|ブランドムービー・パンフレット制作インタビュー

ブランドコンセプトムービーの制作から、ブランドパンフレットの制作まで。新しい時代に合った暮らしのあり方を提案するシェアレジデンスブランド「nears(ニアーズ)」の世界観を外へ伝えるための一連の素材づくりを、GEKIが一気通貫で伴走しました。タイトな納期、進行途中での依頼内容の変化、そして「nearsとは何か」を一目で伝えるという難題。その過程と成果について、株式会社コスモスイニシアの山田さん・田片さんにお話を伺いました。

発注先はほぼ決まっていた——それでも土壇場で「GEKI」を選んだ理由

—— まず、最初のご相談はどのような状況からだったのでしょうか。

山田さん:そもそもの出発点は、ブランドコンセプトムービーを作りたい、というものではなかったんです。元々は、ブランドを統一した物件紹介資料を作りたい、というところからスタートしていて。動画は「あれば理想的」という位置づけで、当初から狙っていたわけではありませんでした。

—— 資料制作の依頼先は、すでに検討が進んでいたんですね。

山田さん:はい。物件資料については2社に見積もりを依頼し、動画についても別途見積もりを取っていました。方向性としては、ほぼ発注先が固まりかけている状況でしたね。

「御用聞き」じゃなく「社内メンバー」として伴走。他社との違いは提案の“解像度”

—— そこにGEKIが加わったのは、どのような経緯だったのでしょうか。

山田さん:きっかけは、社内の別スタッフからのご紹介でした。動画会社に見積もりを依頼していたタイミングで「こういう制作をしている会社がある」とご紹介いただき、そこから改めてお願いすることになりました。

—— 提案の内容は、他社とどう違ったのでしょうか。

山田さん:他社は、私たちが「こういうものを作りたい」と伝えると、それに沿った案を返してくださる形でした。一方GEKIさんは、「nearsは本来こういうブランドなので、こういう表現が必要ではないか」と、ブランドの成り立ちに立ち返った上で、必要なものを組み立て直して提案してくださった。その視点の違いが、依頼先を切り替える決め手になりました。

—— 不動産事業への理解や、社内の状況への理解も深かったと伺いました。

山田さん:そうですね。不動産事業の構造や、nearsチームが置かれている状況まで踏まえてご提案いただけたので、社内の人間と話しているような感覚に近かったです。おかげで意思決定がスムーズに進みました。

依頼内容が途中で変更、それでも臨機応変にアジャストする対応力

—— まず動画制作から始まりました。スケジュールはいかがでしたか。

山田さん:完成まで約1ヶ月というスケジュールでした。物件のオープンに合わせて公開したいという希望があり、他社であれば難色を示すようなタイミングだったと思います。GEKIさんはその条件を踏まえた上で、実現可能な進め方を最初に設計してくださったので、安心して進めることができました。

—— 続いてパンフレット制作です。こちらはどのような経緯でしたか。

田片さん:新規物件オープンにあたり、社外の方をお招きする機会が何度かあり、その場でお出しする資料をきちんとした形にしたい、という相談から始まりました。時間的な制約が大きい中でのご相談でしたが、途中で依頼内容の解像度が上がり、当初想定していたよりも踏み込んだ提案をお願いすることになりました。

—— 実際にご一緒してみて、印象に残っていることはありますか。

田片さん:依頼内容が途中で大きく変わったにもかかわらず、その都度、実現に向けた具体的な道筋を示していただけたことです。私たちはこうした進行に慣れていたわけではなかったので、通常の段取りとは異なる相談をすることもありましたが、その一つひとつに対して、なぜそれが難しいのか、あるいはどうすれば実現できるのかを、きちんと言葉にして返していただけました。着地までの設計を任せられるという安心感がありましたね。

案内できるものが何もなかった現場を救った1冊のパンフレット

—— 動画は、完成後どのように活用されていますか。

山田さん:現在も継続して使用しています。動画コンテンツ自体、社内でそれほど多く展開していないのですが、今出している中では最もクリック率が高いものになっています。ブランドイメージを崩さずに使い続けられているのは、制作段階からチームで丁寧にイメージをすり合わせていただいた成果だと思っています。

—— パンフレットについては、特にどのような場面で効果を感じましたか。

田片さん:象徴的だったのは立ち上げたての物件です。現地のご案内ができる状態が整う前の段階で、お問い合わせをいただくことがありました。それまでは、そうした際にお見せできる資料が整っていない状態だったのですが、ブランドパンフレットができたことで、「nearsはこういう世界観のブランドです」とお伝えできるようになりました。

—— 資料そのものへの反応というより、世界観の伝わり方に変化があった、ということでしょうか。

田片さん:そうだと思います。動画制作の段階からnearsの空気感や社内の雰囲気を理解していただいた上でつくられているので、既存の資料と並べて使っても、お客様に違和感を与えることがありません。ブランドとして一貫した印象を保てているのは、大きな価値だと感じています。

—— 入居検討者以外にも、活用の場が広がっているそうですね。

山田さん:はい。入居希望者だけでなく、当社事業への投資を検討される方への説明にも使っています。「nearsとは何かを説明できる資料はあるか」という声が社内の営業担当からも上がるようになり、今はこのパンフレットがその役割を担っています。これまで存在しなかった、ブランドの入り口となる資料を持てたことの意味は大きいです。

—— ご自身で編集できる形式で納品いただいたそうですが、運用面はいかがですか。

田片さん:想定していたよりもスムーズに更新できています。物件数が増えていく中で、自分たちの手で継続的にアップデートしていけるという点は、実務上とても助かっています。

「シェアという暮らしもありだよね」——市場ごと広げる、nearsの次の挑戦

—— 今後、GEKIと一緒に取り組んでいきたいことはありますか。

山田さん:現在nearsに関心を持ってくださっている方の多くは、もともとシェアハウスを検討していた層です。事業として拡大していくには、「シェアという暮らし方も選択肢になる」と感じてもらえる層そのものを広げていく必要があります。そのブランディングの方向性については、引き続き一緒に考えていきたいと思っています。

田片さん:物件ごとにブランドトーンが異なり、白楽はポップで濃いめの色使い、五反田はパステル、赤羽は元ホテルの空間を活かした落ち着いたトーンと、それぞれ表情が異なります。共用部の色味や空間設計も含めて、nearsとしての世界観をどう統一し、どう見せていくか。今後は棟数も増え、首都圏以外に大阪への展開も控えているので、その設計についてもぜひご一緒したいと考えています。

—— 一棟あたりの規模も拡大していくと伺いました。

田片さん:これまでは1棟60〜70戸ほどの規模が中心でしたが、今後はさらに大きな規模の物件もリリースしていく予定です。規模が変わることで共用スペースの使い方も見直しが必要になるため、その活用方法については、社内でも議論を進めているところです。

—— 「ゆるやかにつながる隣人」というコンセプトは、住まいというより、コミュニティそのものを育てているようにも感じます。実際に住まわれている方からの反応はありますか。

山田さん:響く方にはしっかり響いている実感があります。30代・40代で単身の方は、日々の生活が仕事と自宅の往復になりがちですが、nearsという場を通じて新しい接点や居場所を持てている方が多いです。初期の川崎の物件で出会われた方から、後日「結婚し、子どももできました」というご報告をいただいたこともありました。住まいの提供が、その方の人生そのものにつながっている実感があります。

—— 一方で、市場をどう広げていくかという難しさもある、と。

山田さん:そうですね。「シェア」という言葉自体への抵抗感は、世の中にまだ根強く残っています。抵抗がなく、かつシェアで得られる価値をも目的になさる層は、現状ではまだ限られた層です。シェアという形の中で上質な暮らしを提示していますが、その伝え方には限界もあると感じています。「共用部付きの賃貸」という打ち出し方に変えていくことも、選択肢の一つとして考えています。

田片さん:現状は「シェア」「コリビング」という括りで見られがちで、その市場では20代がボリューム層になります。nearsは仕組みとしてはコリビングに近い部分もありますが、狙っている層は少し異なります。無理に対象を広げると、nearsが大切にしてきた世界観が崩れてしまう可能性もあるため、どう分母を増やしていくかは、慎重に考えるべき課題だと捉えています。

—— 一般的な集合住宅では、隣人の顔も知らないことが当たり前ですが。

田片さん:本当にそうですね。普通に暮らしていれば、隣人のことを知る機会はほとんどありません。nearsでは、住まわれている方のほとんどが互いの顔を知っている状態がつくれている。これは、あらためて価値のあることだと感じています。この価値をどう届け、どう広げていくか。伝え方とタイミングが重なれば、より大きな広がりにつながるはずだと考えています。


編集後記

「nearsとは何か」を一言で語ることは、決して簡単ではありません。シェアという仕組みの奥に、暮らしの選択肢そのものを広げていこうとする強い意志があるからです。

GEKIが今回の制作で向き合ったのは、映像やパンフレットという成果物そのものではなく、「このブランドが本来何を目指しているのか」という問いでした。ブランドの輪郭を丁寧に描き直すことは、事業の成長角度そのものを左右する仕事でもあります。

コスモスイニシアさまの次の展開において、その輪郭がどう広がっていくのか。進化していくそのプロセスと歩みを、これからも追いかけていきたいです。