「乗り越えたなら、それはもう挫折ではない。」 ネクステージ様の採用に宿る、覚悟と美学。

複数の事業領域を展開し、2036年には100事業体制を目指しているネクステージグループホールディングス株式会社様(以下、ネクステージ)。
同社では、「チャンスなら、まだある」という企業文化を軸に、これからの時代にふさわしい採用のあり方を模索してきました。背景には、人材を確保するだけでなく、自社の価値観に共感し、本質的にフィットする仲間を集めたいという思いがありました。
今回、採用ブランディングを通じて伝えたかった「ネクステージらしさ」や、プロジェクトの取り組みについて、人事責任者の倉知誠様にお話を伺いました。
1.「伝わっていない」から始まった、採用ブランディングの再設計
― なぜ、採用ブランディングに取り組もうと考えたのですか?
採用ブランディングに取り組んだ背景には、3つの課題がありました。
1つ目は、採用サイトの情報やデザインの陳腐化です。リニューアルから年数が経ち、企業の現状や採用方針を十分に反映できていない状態でした。2つ目は、ターゲットとのギャップです。私たちが本当に採りたいのは、いわゆる「キラキラ人材」ではなく、一度挫折を経験し、それでも挑戦しようとする人材です。ところが、従来のサイトではターゲット層に向けたメッセージを発信できていませんでした。3つ目は、採用プロセスの非効率さです。面接は平均8〜9回行っており、人事がかなり時間と労力をかけて候補者の意志を高めていました。本来は、サイト訪問の時点で「この会社に行きたい」と思ってもらえる設計が必要だったと思っています。
― 採用サイトに「ワクワク感」や「共感形成」を求めた理由は?
学生にとってコーポレートサイトは、ブランドとの最初の接点でもある入口なので、初期段階で「この会社、面白そうだな」と思ってもらえるかどうかが勝負だと思っています。選考フェーズでは高い内定承諾率を出せていた反面、最初の「興味喚起」が弱かったことで、面談の回数を複数設けることが必要になってしまっていました。だからこそ、「価値観が合いそう」「この会社、自分とフィットしてるかも」と思ってもらえるような共感起点の設計が重要でした。
2.「ガクチカ」ではなく「ガクノリ」──ネクステージが求める人物像
― ネクステージが求める人材像とは、どのような人物ですか?
基本的には「素直でタフな人」。これはずっと変わっていないですね。具体的には、1回挫折を経験したとか、何かに全力で向き合ったけど報われなかった人。そういう人って、もう一回立ち上がったときに本当に強い力を持っていると思うのです。たとえば「普通の大学だけど、サークルで何かに夢中になっていた」とか、「頑張ったけど結果は出なかった」みたいな人の方が、ネクステージには合っていると思います。キラキラの成功体験ではなく、むしろ失敗や悔しさを乗り越えようとする人。そんな等身大で熱い人を採用したいと考えています。

― 「ガクチカ」ではなく「ガクノリ」という表現には、どのような意味が込められているのですか?
いわゆる「学生時代に力を入れたこと(=ガクチカ)」って、華やかだったり、結果が出てるものが評価されがちですよね。でも、我々が大事にしているのは、「ガクノリ」です。これは「学生時代に乗り越えたこと」を大切にしたいという意味で使っています。何を乗り越えたか、どう向き合ったか。そこにその人の価値があると思っているし、そこを見たい。だからこそ、サイト全体でも「在籍する社員が挫折をどう乗り越えてきたか」が伝わるように設計しました。
― そのメッセージを形にするにあたって、プロジェクトを進める中で印象に残っていることはありますか?
正直、最初から「この言葉を使おう」といった明確な答えがあったわけではないのです。ただ、GEKIさんとの対話の中で、「当たり前だと思ってたけど、実はめちゃくちゃ大事なこと」だと気づかされることがたくさんありました。「乗り越えたなら、それはもう挫折ではない。」というメッセージも、私が発信した言葉というよりは、GEKIさんが私たちとの会話の中から拾い上げて形にしてくれたものなんです。それを見たときに、「あ、これが我々の伝えたかったことだ」と、しっくりきたのを覚えています。


― 「乗り越えたなら、それはもう挫折ではない。」というメッセージには、どのような思いが込められていますか?
世の中には、挫折やコンプレックスを抱えたまま、なかなか挑戦できずにいる人がたくさんいると思うのです。でも、ネクステージには、それを隠すことなく、むしろ糧にしてチャレンジしてほしいという文化があります。失敗を承認し、挑戦を賞賛する会社です。「落ちたけど、立ち上がった力」「やり抜いた経験」って、何よりも価値がある、という思いを、この一文に込めています。

3. 妥協しないコミュニケーションが、ブレない世界観をつくった
― プロジェクト開始時、GEKIにどのようなことを期待されていましたか?
一番期待していたのは、「自分たちの思いやストーリーを、きちんと伝わる形にしてくれること」です。私たちの頭の中にある思いや、価値観をうまく言語化してくれる伴走者が必要でした。実際、GEKIさんにお声がけしたのは、当時関わっていた外部コンサルの方が紹介してくれたのがきっかけだったのですが、初期の提案段階から「ネクステージ様のブランド像はこう表現するべきだと思います」と自信を持って示してくれたのが印象的でした。ただ要望を聞くエージェンシーではなく、チームとして一緒に進められるパートナーだと感じました。
― プロジェクトを進めていく中で、印象に残っていることはありますか?
とにかく、進めやすかったです。「こうしたい」という意見は漠然と頭にあっても、それをどう表現すればいいかまでは分からないことが多かったのですが、そのもやもやをGEKIさんが汲み取ってくれて、毎回A案、B案、C案……と、意味やストーリーの乗った複数案を出してくれました。自分がフルコミットできないフェーズでも、イメージを汲み取って先回りして提案してもらえたのはありがたかったです。
また、抽象度の高い話をしても、的確に形にして返してくれる安心感がありました。ピントが少しでもズレると表現って大きく変わるじゃないですか。だからこそ、細かいヒアリングや認識合わせを重ねて、ズレのないアウトプットを出してくれた点は、本当にやりやすかったです。
今回は、2〜3ヶ月で採用サイト、ムービー、説明会等で使用する資料まで一気に制作してもらったので、GEKIさんが本来もっと深掘りしたかった部分や、表現の幅をもっと広げられた可能性もあったのではと感じています。なので、もし次にまた何か一緒にやるなら、もう少し時間に余裕を持って依頼し、より深い議論やクリエイティブに挑戦したいです!
4. 採用だけじゃない。社員の誇りをつくったブランディング効果
― 採用サイトの公開によって、候補者とのコミュニケーションに変化はありましたか?
これまでは、採用サイト自体に候補者を積極的に誘導していたわけではなく、オウンドメディアなどを中心に情報提供をしていました。ただ、新しいサイトでは「このページにこういう情報が載ってるから、選考前に見てきてください」と候補者に自信を持って案内できるようになったことが大きいです。情報を一元的に伝えられる場所ができたことで、候補者の認知や理解度が明らかに上がってきている感覚があります。
― 採用経路やターゲット層にも変化はありましたか?
ありました!今年の採用は、イベント経由での流入が全体の6割ほどを占めています。イベントで出会った学生に対して、説明会や面談に入る前に「うちの価値観や制度を知ってほしい」と思ったときに、採用サイトがしっかりその役割を果たしてくれるようになりました。今は候補者に「ネクステージってこういう会社なんだ」ということを伝える手段として非常に機能していると感じています。
― 社内での反応や変化もありましたか?
社内の反応もありました。まず、以前のサイトはグループ全体をひとまとめで紹介していたのに対し、今回は職種や事業にフォーカスを当てて、個々の社員や制度がわかりやすく紹介されています。動画コンテンツも増えたので、「伝わりやすくなった」という声が挙がっています。また、社員を多く登場させたことで、掲載されたこと自体がひとつの「ステータス」になっているようで、「あのページに載ってる人みたいになりたい」という声もあります。ちょっとしたロールモデルにもなっていて、エンゲージメント向上にもつながっていると感じます。
― サイトが果たしている役割は、想定通りでしたか?
はい、ある程度は想定通りです。ただ、今回は短期間で形にしたという経緯もあり、今後はサイトをさらにブラッシュアップしていく必要があるとも感じています。完成して終わりではなく、今後の採用活動の中でどう活用していくかが重要だと感じています。
5.「チャンスなら、まだある」社会をつくる会社へ
― 「2036年に100事業」という目標には、どのような想いが込められているのですか?
「100事業構想」は単なる数字の目標ではなく、「挑戦し続ける集団」でありたいというネクステージの意思表示です。事業を生み出し続けるには、挑戦し続ける人材、挑戦を支える組織、そして失敗を受け入れ、再起できる文化が必要だと思っています。創業以来、何度も失敗を繰り返しながらも、挑戦を重ねて今のネクステージを築いてきました。その背景には、代表の丹野の原体験が色濃くあります。借金を背負い、そこから再起してきた経験を通じて、「借金はギフトだった」と語るように、挫折や失敗すら糧にできる文化が根付いています。

(ネクストーリー)

― 目指す未来に向けて、どのような企業文化を築いていきたいと考えていますか?
ネクステージの根底には、「諦めない」「挑戦し続ける」という共通言語があります。ただ今の社会では、学歴や職歴に引っ張られて「どうせ無理」と挑戦を諦めてしまう人が多い。それって社会の損失だと思うのです。だからこそネクステージは、未経験でも、失敗しても、挑戦できる場所でありたい。グループ独自の事業企画提案制度「THEチャンス」や、突出した成果を出した人材から選抜した人財育成を行なう特別研修プログラム「人事抜擢制度」など、挑戦の機会を整えてきた我々だからこそ、そうした文化や仕組みを今後も育てていきたいと思っています。


― 倉知さんご自身が考える、ネクステージを表す一言とは?
よく「いい人が多い会社だよね」と言われるのですが、私は「いい人」というより「すごい人」が多い会社だと思っています。「すごい人」というのは、ただ優しいとか、気が利くとかではなくて、人の人生を変える力を持っている人のこと。誰かを救えるだけのスキルや行動力がある。そんな人が本当に多いと思うのです。タフで、しぶとくて、諦めない。そんな仲間たちと一緒に働けているのが、何よりの誇りです。
「乗り越えたなら、それはもう挫折ではない。」
自分の過去と向き合いながら、それでも挑戦を選ぶ人がいます。
ネクステージは、そんな人たちの挑戦に寄り添い、エールを送り続ける存在です。
「チャンスなら、まだある。」——その言葉の続きは、これから出会う人たちと紡がれていきます。